住宅ローンが返せない!!【どうする】

 

家を売るか? 法的手段を使うか?

家を売る

 

世界的な不況下で、日本経済も低迷しています。会社の倒産、雇用調整によって給料やボーナスが大幅にダウンしたり、ときには収入がなくなったりして、住宅ローンを支払えずに家を失う人が増えています。

 

ローン返済のための借金は危険

家で借金をする

 

住宅ローンは長期にわたって支払っていくものなので、その間には、事故や病気など、いろいろなことが起きるでしょう。当初の返済計画が狂ってしまうことは珍しくありません。ただ、そうした場合でも、多くの人は住宅ローンの返済を優先させたいと思うため、消費者金融から借金するようになり、ついにはその消費者金融からの借金も返せなくなることがあるのです。住宅ローンの返済のために他の金融機関から借りるのは非常に危険なので、住宅ローン返済が厳しくなってきたら、素直にその事実を金融機関に話しましょう。

 

返済できなくなったらどうするか

金融機関に相談するにあたっては、リスケジュール(返済計画の変更)を提案してみるべきです。たとえば、返済期間の延長があります。金融機関のほうでも、時間がかかっても返済してもらいたいと思っています。借金がふくらみ、破産することを望んでいるわけではありません。まったく返済のメドが立たない場合は、自宅を売却することを提案するのも手です。これが任意売却であり、競売とは違い、借主が自分で不動産業者などに頼んで売ることです。住宅ローンの返済が滞ると金融機関は裁判所に競売を申し立てますが、一般的には競売よりも不動産業者経由での売却のほうが、多くの金銭を得ることができるでしょう。

 

そのほか、法的手段(個人民事再生や破産など)を利用して債務整理を行なう方法もあります。これで債務の大幅カットができますが、手段によっては金融機関の同意が必要なので、どの方法を利用するのかについては慎重な検討が必要です。また、弁護士などの専門家の活用についても考えなければなりません。

 

 

債務整理にはいくつかの方法がある

債務評価

自宅を失わずにすむケースもある

債務整理にはいくつかの方法がありますが、住宅ローンを抱えている場合、まず決めなければならないのは、自宅を売却するのか・売却しないのか(維持するのか)という点です。これは債務額も関係しますが、債務整理法によってはかなりの減額ができ、自宅を失わずにすむこともあります。

 

住宅ローンを滞納した場合の債務整理法には、個人民事再生と自己破産があります。個人民事再生は、自宅を維持しながら債務を返済していく方法です。自己破産は、自宅を売却して債務を返済する方法です。ほかにも任意整理や特定調停という手法もありますが、これらはあくまで住宅ローン以外の債務を整理するときに利用します。

 

では、個人民事再生と自己破産についてみていきましょう。

 

個人民事再生

個人民事再生は、債務者が破産する前に再生・再起できるようにする手続きです。個人民事再生を利用すれば、債務額を大幅にカットすることができます。最高で5000万円の債務を500万円までカットすることができます。個人民事再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生の二種類あります。小規模個人再生は個人事業者を対象にした再生方法であり、給与所得者等再生は主に会社員を対象にした再生方法です。特に、給与所得者等再生は債権者の同意が不要なので、利用しやすい制度といえます。

 

また、個人民事再生には、住宅ローンに関する特則(←R44)という制度もあります。これによって、住宅ローンの支払い期限などを延期したり、住宅ローンの元本の支払いを一部猶予することができます。住宅ローン特則は、小規模個人再生、給与所得者等再生と併用して利用することができるので、住宅ローンのほかにも債務があれば、それも減額できるうえ、住宅ローンの返済をやわらげることもできます。

 

自己破産

自己破産とは、支払いのメドが立たずにやりようがなくなった場合、自分から裁判所に破産を申し立てる手続きです。自己破産をすると借金はすべて免責され、借金から完全に解放されますが、生活必需品を除き、自宅やめぼしい財産はすべて失います。したがって、まさに最終手段といえます。
ただ、破産手続きによってすぐ自宅を失うわけではありません。破産手続きにはかなりの時間がかかるため、買い手が決定するまではそのまま居住できます。もし、破産しなければならないほどの状況なら、買い手が決まるまでにつぎの居住先を見つけ、そこで生活を立て直すことを考える必要があるといえます。

 

そのほかの債務整理手法

個人民事再生、自己破産以外の債務整理法として、任意整理と特定調停があります。これらの債務整理法は、住宅ローンの残額をカットするためより、住宅ローンの返済用に消費者金融から借りた債務をカットするための手続きです。

 

任意整理は裁判所を利用せず、債権者と直接交渉し、債務減額を求める方法です。決まった手続きはないので自由に交渉できるというメリットはありますが、法律知識が必要になるため、弁護士や司法書士などに頼むことが必要になるはずです。住宅ローンを抱えている場合には債権者である金融機関と交渉しますが、専門家を使って交渉にのぞむと相手が態度を硬化させることがある、という点は踏まえておきましょう。

 

特定調停とは、裁判所に介入してもらい、債務を整理する方法です。債務者が裁判所に特定調停の申立てをすることで開始します。妥協点は、裁判所が債権者と債務者の間に入って話し合いながら見つけていきますが、債権者が出席しないと調停は成立しません。債権者からすると債務を減額されることが明らかなので、出席しないことも多いといわれています。話し合いがまとまれば、債務者は調停で決められた返済計画にしたがって債務を返済していきます。

 

 

弁護士や司法書士などに相談する

弁護士のイメージ

着手金や成功報酬の目安

返済が厳しくなったからといって、あせって高金利の消費者金融などに手を出すのはやめておくべきです。仕方なく悪質な融資に手を伸ばしてしまい、その後、雪だるま式に惜金が増えたり、多重債務に陥ってしまったりする危険性があります。一人で考えるだけでは事態は好転しないので、相談先について考えてみましょう。

 

@法律(弁護士)事務所に相談する

一般的には、住宅ローンに限らず、借金が増えたときには弁護士に相談するのが確実です。弁護士に借金整理を依頼し、弁護士がその依頼を引き受けた旨が書かれた通知を債権者に送れば、取立ては止まります。その後の交渉も、弁護士が先頭に立って行なうので安心です。ただ、住宅ローンの減額を弁護士に頼むことで、かえって金融機関に不信感を与える場合もあります。

 

「弁護士に依頼すると高い費用がかかる」という印象がありますが、実際にどのくらいかかるかは、手続きの種類や事務所ごとでも異なります。また、債権者の数によっても違ってきます。正式に依頼する前に聞いておきましょう。一度には支払えない額でも、分割払いができる法律事務所も増えているので、まずは問い合わせてみましょう。報酬支払いについてはきちんと話をしておくべきです。ここではあくまで参考程度に、一般的な料金の目安を示しておきます。

 

任意整理(債権者との話し合いで借金を減額する)

弁護士に支払う費用には、着手金と報酬金があります。着手金とは、弁護士が依頼を引き受けたときに支払うもので、依頼案件が不成功だったときでも返還されません。一方、報酬金とは成功報酬ともいわれ、依頼案件が成功したときに支払うものです。成功報酬の算定基準は弁護士事務所によって異なります。一般に、債務整理においては、債権者との交渉で減額された債務額の何割かを支払うことになります。

 

任意整理の場合、着手金として債権者一人につき5〜8万円を支払うことになるでしょう。その後、交渉によって債務が減額された場合には、減額された額の20〜30%程度を支払うのが一般的です。

 

個人民事再生

着手金としては30万円前後のところが多いでしょう。再生計画が認められれば、成功報酬として20〜30万円程度を支払うことが多いようです。

 

自己破産

着手金は個人民事再生と同じくらいでしょう。破産手続のあとに免責まで認められれば、成功報酬も15〜30万円くらいでしょう。成功報酬をとらない事務所もあります。

 

A司法書士事務所に依頼する

司法書士といえば登記手続きの専門家という印象がありますが、近年は認定司法書士と呼ばれる制度が設けられたことにより、債務整理を行なう司法書士も増えています。認定司法書士は、債務額が140万円以下なら債務者の代理人として、債務整理にあたることができます。費用については弁護士と同じで、債権者の数によって異なります。

 

任意整理

着手金は一般的に3〜5万円程度で、成功報酬は、減額された額の15〜20%です。

 

個人民事再生

書類作成にかかわる報酬は20〜40万円程度で収まるようです。ただ、案件によっては費用が上乗せされる場合もあります。

 

自己破産

書類作成にかかわる報酬は15〜30万円程度が一般的です。ただ、案件によっては費用が上乗せされる場合もあります。なお、債務整理を専門にする弁護士や司法書士が増えています。

 

法テラスを活用する

弁護士、司法書士の知り合いがいればいちばんよいのですが、知り合いがいない場合にも全国の弁護士会、司法書士会などに連絡をすれば紹介してもらえます。弁護士会によっては、借金専門の法律相談を行なっています。その専門の弁護士が相談を受けるので、安心感があります。相談料は、借金問題ということもあり、初回の相談は無料というところもあります。もし、その後も継続して相談をするなら、分割払いができるかどうかなども含め、問い合わせてみましょう。

 

全国に「法テラス」という機関が設置されています。これは「日本司法支援センター」の略称であり、法的トラブルを解決するための支援を行なっている団体です。無料で法律相談ができます。ただ、相談者の個別の案件について具体的なアドバイスをするわけではなく、どのような解決方法(債務整理なら個人民事再生や破産手続きができるなど)があるのかを教えてくれるだけなので、ここで解決できるわけではありません。

 

また、法テラスでは、弁護士会や司法書士会の紹介、資金のない相談者に対する弁護士費用や司法書士費用の立替えも行なっています。ただ、この制度を受けるには、資金がないなどの一定の条件が満たされている必要があります。住宅ローンの返済についての相談者の場合は住宅という資産を持っているので、立替え制度を利用するのは難しいかもしれません。

 

 

支払い不能かどうかが基準になる

個人民事再生を利用すれば自宅が維持でき、自己破産を利用すれば、最終的には家を失うことになります。したがって、どちらの手続きをとるかというのは非常に重要です。

 

この点、自己破産手続きを開始するには破産原因が必要になり、破産原因がある場合には破産を選ぶしかない、という場合が多いといえます。破産原因は個人の場合、支払い不能であることが必要です。つまり、極度に財産状況が悪化していて債務者の弁済能力では支払いが不可能な状態に陥っている、という事実が必要なのです。

 

ここでいう返済能力とは、債務者がどれだけ労力を払っても、信用・資力・技能の問題から、支払いをするだけの資金を調達できなくなったことを意味しています。逆にいうと、単純に資金がなくても所持している財産などがあるとか、ノウハウがあるとかの場合には、まだ返済能力があるということになります。たとえば、新規事業をはじめたが、すぐにうまくいかなくなったような場合、裁判所には、「本人に返済能力がなくてもその事業資産があるはずだ。だから、すぐには支払い不能とはならない」と判断されるでしょう。
支払い不能かどうかは本人の意思ではなく、客観的に決まります。たとえば、債務者が1ヵ月の生活費を6万円に切り詰めればかろうじて返済できる場合は、債務者が「自分はいままで生活費に月30万円かかったから、月8万円はムリだ!!」と思っていても支払い不能とは認められない、すなわち、自己破産できないわけです。

 

一方、個人民事再生手続きの開始要件は「支払い不能のおそれがあること」となっています。これは、将来的には支払い不能の可能性が高いが、現時点ではそうではないということです。

 

このように生活費をかなり切り詰めても生活できるのならば支払い不能ではないので、個人民事再生や任意整理によって解決する手段が残されています。つまり、家を失わなくてすむ可能性が残っています。

 

 

支払い不能の判断は難しい

支払い不能かどうかの判断は簡単ではなく、債務者の資力や収入、負債状況によって判定は変わります。1億円の負債がある場合でも支払い不能とされる場合もあれば、そうでない場合もありますし、また、負債額と収入額が同じでも、40歳の人と定年問近の人とでは判定が変わってくることもあります。

 

さらには、収入が極端に少なければ、惜金そのものは多くなくても支払い不能ということになります。一方、直近の資産がゼロで収入がない場合でも、短期将来的にはそれなりの収入が見込めるなら、支払い不能とはならない場合もあります。

 

このように、どういう状態なら支払い不能かを一概にいうことは難しいのですが、とりあえずの目安としては、分割払いにしたとしても3〜4年半かけても返済ができないような場合や、借金総額が月収の20倍を超えるような場合が支払い不能にあたる、とされているようです。住宅ローンを抱えていると支払い残額が多いのが一般的なので、支払い不能にあたる可能性は高いといえます。

 

自己破産手続きに入るか、それとも個人民事再生を選ぶかは、このあたりの基準と現在の状況を考慮しながら考えることになります。

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