家づくりの規制と法律【2020~2021】

家の規制

 

住宅やその他の建築物は、都市計画法や建築基準法といった基本法令により、建てられる地域や用途が厳しく規制されています。健康的で安全、かつ快適で美しい住環境の形成は、住宅計画や都市計画にとって永遠のテーマです。その実現のため住宅建築においてもさまざまなルールが必要で、そのルールは都市計画法や建築基準法といった法令によって規定されています。ここでは住宅建築関連の基本的な法令規制をみていくことにします。

 

 

◇市街化区域と市街化調整区域

 

都市計画法では「都市計画区域」を定めて、都市の計画的な市街化か図られるよう法制度が整備されています。都市計画区域は「市街化区域」と「市街化調整区域」の2種に区分されていて、市街化抑制が目的の市街化調整区域では、原則的に新しい建造物は建てられません。

 

 

◇地域地区

 

土地の計画的な利用を図るためのしくみとして「地域地区」制度があります。地域地区には、建物の用途や形態を制限する「用途地域」、高さを制限する「高度地区」、火災の危険性に応じた防火地域」「準防火地域」などの区分けがあります。

 

 

 

 

◇地域地区の6つの区分

①用途地域

用途地域制度は、土地利用の現況や動向、将来の土地利用動向などを踏まえて、建物の用途・形態、密度などを規制しています。良好な市街地の形成と、住居、商業・業務施設、工業施設がそれぞれ適正に配置されるよう誘導する規制です。この用途地域が都市計画法の基本的・根幹的な機能を果たしているといえるでしょう。

 

②特別用途地区

用途地域内において、特別の目的で土地利用の増進や環境保護を図る地区として指定されます。特別工業地区、文教地区、小売店舗地区、観光地区など8種の地区があります。

 

③高度地区

用途地域内において市街地の環境を維持し、もしくは土地利用の増進を図る目的で、建物の高さの最高限度や最低限度を定めたのが高度地区です。基本的には、低層住宅地には第一種高度地区、中層住宅地および商業地・工業地の一部に第二種、第三種高度地区の指定がなされています。

 

④高度利用地区

市街地における土地の合理的な高度利用と都市機能の充実を図る地区。

 

⑤防火地域・防火地域

市街地を火災の危険から守るために、都市計画によって定められた地域。

 

⑥その他

以上の地区・地域のほか、市街地の美観を維持保全するための美観地区や風致地区、自然の景観を維持することを目的とした緑地保全地区などがあります。

 

 

◇道路と敷地

 

建築基準法では、建物の安全性や環境への配慮から、道路と敷地の関係についてもいくつかの規制を設けています。その主な内容は、

 

①敷地は原則として幅4m以上の道路に2m以上接していること

 

②幅4m未満の道路の場合、道路中心線から2m後退した線が道路と敷地の境界となることです。

 

 

 

建築基準法が最低限の ルールを定めている!!

家を建てる際に必ず守らなければいけないのが建築基準法です。この法律は住宅に限らず、建築物すべてに適用されるもので、大きく分けて3つの内容から構成されています。第一は、建築物自体に求められる安全性などの最低限の基準です。「単体規定」と呼ばれています。第二は、街並みや周辺環境への影響を考えて守らなければいけないルールについては「集団規定」と呼ばれています。そして第三が、建築確認制度についての定めです。この制度は、建物を建築する計向ができた際に、行政や国の指定を受けた機関が、建築基準法を守った計向になっているかについて審査するものです。確認を受けた後でなければ、工事に着手することはできません。

 

住宅でもこのような建築基準法の定めを前提にして新築計画を進めるわけですが、プランニングをする際に、まず、出発点になるのが敷地条件です。この条件には、家の向きとか、日当たりといった自然条件もありますが、それとともに大事になるのが、第二にあげた集団規定。この定めによって、敷地をどのように利用できるか、どんな大きさの建物を建てられるかといった点が決まってしまうからです。そこで、まず、敷地や建物に求められる条件から慨要を整理してみることにします。

 

 

 

道路の条件や地域指定は役所で確認!!

建物の敷地には、まず、道路との関係から規制があり、原則として4m幅以上の道路に2m以上接していることが求められます。このため、古い建物が建っていた土地 でも再建築が認められなかったり、例外扱いで建築できても、一定の距離だけ境界を下げなければならないことがあります。次に、敷地の使い方や建物の大きさについての定めがあります。こちらは都市計画法という法律と関係していて、一般に住宅 が建つ都市計画区域では左上の表のような 「用途地域」という指定がされています。どんな建物を中心とする場所かを整理して、建物の種類を限定したり、大きさを規制したりするのです。その規制の代表的なものが建ぺい率と容積率です。計算法の 概要は下の図にあげましたが、前者は敷地面積に対する建築面積の割合、後者は敷地面積に対する延床面積の割合を意味し、地域ごとに上限が決まっています。そこで、建物に使える面積や階敖に影響が出ますので、計画前に最寄りの役所の建築指導課などで調べておく必要があります。

 

 

日照への配慮から 上階が規制を受ける【斜線制限】

斜線制限2

 

建物の形に対する規制のなかには、周囲 の日照などに配慮する「斜線制限」という規定もあります。下の図のような斜めのラインを想定し、その内側に建物を収めなければいけないというもので「起点」「勾配」などがポイントになります。斜線制限には、隣地側の「隣地斜線」、道路に面する側の「道路斜線」、北側の「北側斜線」の3種類があります。建築基準法では用途地域ごとに、規制のあるなしや、規制を設ける場合に指定できる数値などを定めており、これをもとに、地方行政が具体的な指定 内容を定めています。3種類の制限のうち「隣地斜線」は、 規制がある場所でも高さ20m 以上の部分になるので、一般 住宅への影響はあまりありません。「道路斜線」は、接する 道路の反対惻を起点にして斜 線を引くもので、道路幅が狄 かったり、敷地の道路側に余裕がないような場合で影響 が大きくなります。「北側斜線」は、中高層住居 専用地域と低層住居専用地域 だけにある規制ですが、特に 第1種と第2種の低層住居専用地域では北側境界の5m上が規制対象となっています。建物を境界から離しましたが、接して いると2階から影響を受ける可能性があります。低層住居 専用地域に家を建てる場合は、十分に注意したい規制です。

 

 

ロフトや小屋裏などは 容積率を有利に使える!!

容積率の床面積から 除かれる部分もあります。こうした建物の大きさについての規制があるなかで、より広い家をつくりたい時に注目できるのが容積率の例外規定です。容積率は敷地面積と延床面積から計算しますが、この延床面積の部分に詳細な定めがあり、下にあげたように床面積に含めなくてよい部分もあるのです。たとえば、小屋裏や中2階は、天井高が1.4m以下なら、下の階の床面積の半分までは床面積に含める必要がないのです。容積率がぎりぎりになるケースでも、こうした空間をちょっとした収納などに使えると有利です。

 

地下室も、たとえば総2階建て住宅なら、まるまるワンフロア分を増やしても容積率に影響しないことになりますから、広く暮らすには便利なアイテムです。車庫を建物に収めるようにしてつくるビルトインガレージも、住宅全体の床面積の5分の1までが除かれますから、限られた敷地を有効に使いながら、上階の日当たりのよい場所に居室をつくるようにして、住まいの快適化をはかることができます。しかし、通常の階数より重みを増やす小屋裹や、一階部分に大きな空間ができるビルトインガレージをつくる際は、構造の強さをしつかり確保しておくことが大切です。単に面積上の有利さからだけ取り入れるのはなく、安全性を前提にして計画したいプランです。

 

 

建築する場所によって防火地域などの指定も!!

都市の防火対策ではエリアごとに、延焼をおさえるための規制が実施されています。住宅プランは用途地域だけでなく、防火上の地域区分の影響も受けます。そのなかでも規制が厳しいのが「防火地域」で、この指定を受けたエリアは、階数が3階以上ある建物や延床面積が100㎡を超えた建物などは法が定める「耐火建築物」にしなければなりません。それ以外の建物も「準耐火建築物」にする必要があります。都市中心部、商業エリアなどに特に多い指定です。

 

次に厳しいのが「準防火地域」で、住宅地などでも指定されているケースが多くあります。こちらは、地上4階建て以上や延床面積1500㎡超の建物は「耐火建築物」に、地上3階建てと延床面積500㎡超1500㎡以下の建物は「準耐火建築物」にしなければなりません。木造建築物の場合は外壁や軒裏の防火性能についての基準もあります。そのほか、「屋根不燃化区域」として、屋根の構造などを規制している地域もあります。このように防火上の規制によっても住宅の工法、使う材質などが制約されます。地域の指定は地方行政ごとに行われていますので、この点も最寄りの役所で事前に調べておく必要があります。

 

なお、「耐火建築物」「準耐火建築物」の内容は、法律で必要な性能を定めていますが、準防火地域でも対応により木造3階建て住宅が建てられるようになるなど、規制緩和も進んでいます。さらに、従来はコンクリート造、レンガ造、木造といった材質をもとに基準ができていましたが、現在は、火災に耐える時間といった実質的な性能により判断するようになっており、住宅メーカーの商品などでは、あらかじめ「耐火建築物」や「準耐火建築物」の認定を受けているものもあります。

 

 

★ 防火規制のポイント ★

 

【構造や防火などの規制】

●構造の安全性や防火対策などの定めにも、きちんと対応しておくことが、長く安心して暮らすために大事

 

●内容は専門的だが、自分の家が違法建築にならないように気を配りたい

 

●信頼できる施工者を珮び、建築確認などの手続きに不備がないようにチェックしておくことが必要

 

 

構造の強さや安全性の定めもある!!

建築基準法の「単体規定」の方には、建物自体についての定めがあります。たとえば、居室の天井高、必要な窓の面積、地下室の条件、階段の構造といった内容です。 あくまで最低限の安全性や健康面に配慮した基準で、設計の専門家はこれらをおさえてプランをつくりますから、それほど制約になるものではありませんが、定めがあることは理解しておきましょう。なお、キッチンなどの火気を使う部屋については、内装に防火上強い材料を使わなければならないという定めがあり、先の防火地域指定のいかんにかかわらず遵守しなければなりません。「内装制限」と呼ばれていますが、例えば、キッチンとリビングを一体の空間とする場合は、リビングの内装も 規制を受けるなど、若干、プランに影響が出ることもある内容です。また、火気使用室は消防関係の法律や条例などの規制を受けることもあるので、専門家の意見をよく聞くことが重要です。特に業務用厨房機器を使う場合は注意が必要です。

 

 

3階建て住宅には構造強度が求められる!!

また、注意しておきたいのが、木造3階建て住宅の基準です。最近では都市部でこの木造3階建が非常に多くなってきました。木造住宅の強度については、2階建てまでは建築の専門家の経験による判断が尊重されていますが、3階建て以上は法で定める「構造計算」という計算をして、強度を確かめなければいけないことになっています。そして、建築確認の際にチェックを受けます。実は問題になった欠陥住宅のなかには、この手続きを省くため、2階建て住宅ということにして建築確認の申請を出し、現場で屋根裏を改良して実質3階建てにしてしまうなどして、構造的には弱い建物になったという悪質な実例もあるのです。違法建築にしないため、建て主側でも、正式の手続きで建築確認を申請しているかに注意しておくことが大切です。

 

 

シックハウス対策や換気の規制もある!!

2003年から建築基準法にシックハウ ス対策の規制が加わりました。内容はシロ アリ駆除剤に使われた物質のひとつを完全い使用禁止にし、ホルムアルデヒド対策に基準を設けたものです。ホルムアルデヒド対策では、

 

①内装に使用する材料の規制

 

②換気 対策 

③天井裏の対策

 

で構成されています。①は、建材が出すホルムアルデヒド量 により、その建材を使用できる面積を制限するものです。このため、規制対象になる壁紙やボード類といった建材が、JIS(日本工業規格)、JAS(日本農林規格)、国土交通大臣の認定などにより、ホルムアルデヒド放散量の等級を表示することになりました。建築確認の際には、どんな等級の材料を使うかを報告する流れができています。また、②の換気対策では、原則として、建てる住宅に機械式の換気設備の設置を義務づけました。家具などから出るホルムアルデヒドにも配慮してのものです。高価な集中符理式の設備である必要はありませんが、求める性能が定められており、設計時の換気計画が重要になっています。

 

 

住宅の品質についての制度も制定!!

今は、住宅の品質にこだわる時代です。建築基準法以外になりますが「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)も理解しておきましょう。こちらは、欠陥住宅への対策を強化したり、住宅の品質をわかりやすく示す制度をつくることを目的にした法律です。内容を大きく分けると、

 

①欠陥に対する施工者や販売会社の責任 

 

②住宅性能表示制度

 

③紛争の処理機関 

 

からなっています。①は、住んでからわかる欠陥についての定めです。従来の工事請負契約では民法の規定や慣例に基づいて、2年程度保証するという形が多かったのですが、これを10年間は保証するように義務づけています。この結果、施工先が万一の場合に補償できるよう、一種の保険をかける動きも出ています。②は任意で利用できる制度として、第三者による性能評価を受けられるシステムを設けるという内容です。これに基づき、国土交通大臣が評価基準を告示し、評価を行える機関を指定しています。基準には、「構造の安定」「劣化の軽減」「温度環境」といった9つの大区分が設けられ、それごとに評価方法や等級が示されています。この制度を利用する際の流れを下にあげました。申し込みは施工者側からも工事の依頼者側からもできますが、現状、新築住宅の場合では、建て主の判断に任せる形が多くなっています。自分の建てる住宅の品質を具体的に知っておきたいなら生かしたい制度です。また、③は、②の住宅性能表示制度を利用した住宅については、万『紛争が起きた場合、できるだけ迅速に処理できるよう、専門の処理機関を設けたものです。


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