省エネ住宅が当たり前【高断熱・ZEH・太陽光】

住宅ランニングコスト

 

水道光熱費や修繕費を削減 低ランニングコストの実現!!

家を建てる際は、先々の経済性についても考えておきたいものです。現在、住宅業界では環境への取り組みも活発です。ZEH住宅やIOT住宅などが注目を集めています。家を取り壊すまでの期間を人の一生になぞらえ、「家の生涯コスト(ライフサイクルコスト)を減らす」というテーマのもと、省エネ効果の高い家づくりも提案されています。こうした工夫は家のランニングコストを抑えて経済的に暮らすためにも役立ちます。

 

それでは、家のランニングコストには、どんなものがあるかというと、主に水道光熱費と家自体のメンテナンス費用が考えられます。そこで、このランニングコストを抑えるには耐久性が高く、消費エネルギーが少ない家を建てることが大前提になります。今の住まいは電気設備を多用するようになっていますので、自分にとって本当に必要な設備を選んで使うという発想もとても重要です。そして、家庭の電力消費で人きな割合を占めるのが冷暖房や給湯です。冷暖房は部屋ごとに効率的に使えるプランを考えたり、省電力対応の新設備を使うといった対応も必要です。さらに、環境対応では後述するエコキュートや太陽光発電システム、蓄電池システムといった、注目設備も登場しています。導入のイニシャルコストの点では負担になるものもありますが、この点も予算のバランスを考えてみることが大事です。長い目で見た効果もチェックポイントです。

 

ZEH住宅とは何?

ZEH住宅とは、「低炭素住宅」の略で、省エネルギーや環境に配慮した住宅のことを指します。ZEH住宅は、省エネルギー基準を満たすために、断熱性能や断熱材、空気調整などに優れたまた、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを活用することで、住宅のエネルギー需給バランスを取ることができます。ZEH住宅は、環境に配慮した住環境を提供することで、住民の健康や快適さを向上させることができます。

 

 

IOT住宅とは何?

IoT(Internet of Things)住宅とは、技術を活用して、家電や照明などの設備をなどスマートフォンのデバイスから遠隔インターネット操作することができる住宅のことを指します。IoT住宅には、温度やなどの環境データを収集し、快適な住環境を維持するためのシステムが搭載されていることが多いです。また、家族や友人が帰ってきたことを検知し、照明や空調などを自動で調整これにより、エネルギー効率の向上や、家族や友人が帰ってきたときに暖かい家に迎えることができるなど、生活の質の向上に貢献します。

 

断熱性に気を配り家全体を省エネ化【ZEH住宅】

ランニングコストを減らすならば、まず、家全体の断熱性と気密性から検討してみる必要があります。これはZEH住宅の基本でもあります。家を断熱材で包み、室内の温度が戸外の温度の影響を受けにくくするのが断熱性、家のすき間をできるだけなくして、断熱効果を守るのが気密性です。断熱性と気密性を高めた家は、快適に過ごせるとともに冷暖房費を大幅に抑えます。

 

住まいの省エネ性の具体的な基準については、国土交通省と経済産業省が共同で告示している省エネ基準があり、「新省エネ基準」から「次世代省エネ基準」へとより効果の高い建物の基準が示されてきました。これは地域ごとに、Q値(熱損失係数などの具体的な数値を定めたもの。ちなみ にQ値は数字が少ないほうが性能が高いことを示します。住宅の広告にも、Q値がいくつとか、「次世代省エネ基準クリア」と いったアピールがされています。ただし、家の省エネ性を高める収り組み は、さらに、健康面や精神面にも配慮したバランスのよい建物を建てる段階に進んできています。例えば、気密性を高めれば 室内の空気を密閉しがちになるので、換気 対策もより求められるようになり、自然素材の断熱材なども注目されています。

 

 

日本家屋の知恵も活かし快適で経済的な家に!!

現在の住まいは設備によって、快適に過ごせるようになりましたが、自然条件を上手に使う家づくりの基本は変りません。季節のよい時は、窓を開け放って自然換気ができるようにし、窓を2方向にあけて室内の通気をよくします。家本体の健康にも役立ち、耐久性を高めます。

 

また、日本家屋には日本特有の風土のなかで快適に暮らす知恵があります。例えば、庇は、太陽の高度が高い夏は暑い日射しを遮断し、太陽の高度が低い冬には暖かさを取り込む役割を果たします。夏は、窓にすだれを垂らすだけでも日射しがやわらぎ、植栽などの緑化で涼しく過ごせます。

 

 

★ チェックポイント ★

 

●ランニングコストを減らすポイント

●家の構造や外まわりは高耐久に

 

●水まわり設備はメンテナンスや取り替えがしやすくする

 

●冢全体を高気密、高断熱に

 

●通風への配慮、緑化などで自然の力も上手に生かす

 

●省エネ家電を積極活用

 

●太陽光発電などの新設備にも注目する

 

 

当たり前になってきた「エコキュート」!!

住宅設備を選ぶ際も省エネ性能を十分に吟味しておきましょう。特に給湯設備や床暖房は、一度決めてしまうと、変更工事が大がかりになるので、新築時によく考 えておくことが重要です。給湯設備の熱源には、ガス、石油、電気 などがあり、それぞれ経済性の向上がはかられています。

 

そんななかで、今特に注目されているのが電気を効率的に使うCO2自然冷媒ヒートポンプ給湯器です。「エコキ ュート」の愛称で呼ばれています。ヒート ポンプとは大気から熱を取り込む装置で、 そのために冷媒という物質を用います。当初は、これにフロンが使われましたが、自 然界に存在するC02を使う技術ができ、一段と環境にやさしくなりました。大気熱で水をあたため、さらに、電気で常時、給湯できるようにします。この電気の部分も 電気代が割安な夜間電力を使いますす。その結果、非常に経済的にお湯が使えます。

 

★エコキュートも疑問を詳しく解説

 

 

「エコキュート」とは?

エコキュートは、給湯器に搭載される省エネ機能です。この機能は、給湯時に節約した熱を次の日の水道に使用することで、給湯に必要なエネルギーを削減することを目的としています。給湯器の内部に、保温タンクと呼ばれるタンクを搭載していす。この保温タンクは、給湯時に節約した熱を蓄えるために使用されます。次の日の水道を使用する際に、この熱を利用することで、給湯に必要なエネルギーを削減することができます。

 

エコキュートは、給湯器の設置場所や使用状況に合わせて、自動的に給湯を制御することができます。これにより、効率的なエネルギー使用を実現します。また、エコキュートは、給湯器に搭載されるため、設置する際に追加の費用をかける必要はありません。給湯器の交換時に導入することで、節約エネルギーを実現することができます。また、エコキュートは省エネ対策に有効な手段の一つであり、家庭やビルなどの様々な場面で活用することができます。将来的には、さらに高性能なキュートエコが開発され、さらに省エネに貢献する期待されています。

 

 

エネファームと蓄電池

日本において、住宅のエネルギー供給に関する選択肢が増えてきました。その中で注目されているのが、エネファームと蓄電池の導入です。これらの設備は、エネルギーの削減や災害対策に対する効果が期待されており、家庭に導入する際には慎重な計画が必要です。家作りや住宅のリフォームを検討する際に、エネファームと蓄電池の導入が注目されています。これらの技術はエネルギー効率の向上や災害対策に貢献する可能性があるため、多くの人々が関心を寄せています。しかし、導入に際しては注意点や投資対効果を検討する必要があります。本記事では、エネファームと蓄電池のメリットとデメリットを詳しく解説し、シミュレーションを通じてどのような効果が期待できるかについて探求します。

 

エネファームの単体導入

エネファームを単体で導入した場合、15年間の合計費用は約478万円になります。これにより、月間光熱費が約26,565円に削減され、通常の電気代に比べてお得と言えます。ただし、注意すべき点として、エネファームのメンテナンスコストが発生する可能性があり、長期間の壊れた場合には費用が上昇することがある点を考慮する必要があります。

 

メリット

  • 高効率の発電が可能。
  • 災害時にも発電できるため、安心感がある。
  • 発電による電力供給で電気代を削減できる。
  • 補助金活用により、初期費用を抑えることができる。

デメリット

  • 初期費用が高い。
  • 保証期間が限られており、長期的な運用に対する不安がある。
  • 一部のエネファームは売電できないため、時価総額が影響する。
  • 導入に際しての検討が必要。

 

太陽光発電との比較

太陽光発電を導入した場合と比較します。太陽光発電単体の場合、月間の購入数が約9,719円となり、エネファームよりも経済的に有利です。投資額は約150万円で、合計光熱費は約324万円となり、エネファームよりも安く済みます。

 

蓄電池の導入

蓄電池を太陽光発電と組み合わせて導入した場合、月間光熱費は約24,000円となり、エネファームよりも割高ですが、停電対策に優れています。蓄電池の容量を増やすことで、電力供給の安定性を向上させることが可能です。

 

最終的に、どの設備を選択するかは、地域や個人のニーズに依存します。太陽光発電は、エネファームと比較しても優れた投資対効果を持っていますが、地域や気象条件によって影響を受けることがあります。蓄電池の導入は、停電対策に有効であり、安全性を高める要因となります。予算や設備の目的に応じて、エネファーム、太陽光発電、蓄電池、またはそれらの組み合わせを選択することが重要です。設備のメリットとデメリット、投資対効果、トータルコストを検討し、自分のニーズに合った選択肢を見つけることが、満足度の高い家づくりにつながります。

 

 

太陽光発電化システムなどのZEH関連機器もチェック!!

ZEHの住宅

 

自然エネルギーを有効利用する環境設備の提案も活発になりました。ZEH住宅がその例です。太陽光発電、 太陽熱給湯、蓄電池といった設備です。太陽光発電は、屋根などにのせた太陽電池パネルで自ら発電し、電力が足りない時は電力会社から電気を買い、あまる時は電力会社に電気を売る契約を結びます。住宅 用の設備も屋根の形状に対する工夫が進み、発電効率が高まりました。最近のハウスメーカーの住宅では、この太陽光発電システムは、すでに標準化されています。

 

また、オール電化は燃焼させる機器を使 わないことでクリーンな家をつくるもの。IHクッキングヒーターや夜間蓄熱式の給湯器や暖房、そして、太陽光発電などを組み合わせることで、より経済的に実現できます。将来的な経済性を考えて、こうした最新設備を検討するのもよいでしょう。

 

太陽熱をエネルギーに利用したい
太陽熱利用システムは、省エネ効果が高い
ソーラーシステムと太陽熱温水器の違いは「強制循環」か「自然循環」か
導入に補助金を設けている自治体もある

 

太陽熱を直接利用して給湯・暖房

屋根に乗せた集熱器で太陽熱を集め、その熱でお湯を沸かして給湯や暖房を行う「太陽熱利用システム」。クリーンな太陽エネルギーの利用法のひとつとして注目を集めています。水を太陽熱で直接温めるため、太陽光発電と比較してエネルギー変換効率がよい(太陽熱の50%以上を利用)のが特徴です。

 

暖房と給湯を合わせれば、家庭でのエネルギー利用の50%以上を占めるとされ、その部分に「太陽熱利用システム」を活用することは、大きな省エネ、省皿効果が期待できます。太陽熱を集める媒体(熱媒)として水や不凍液などの液体を使うものが一般的ですが、暖房を主体に空気で熱を集めるものもあります。

 

ソーラーシステムと太陽熱温水器

太陽熱利用システムには、熱媒をポンプ等で強制循環する「ソーラーシステム」と、水温の上昇による自然循環を用いる簡便な「太陽熱温水器」があります。以前は、重量のある貯湯槽一体の機器を屋根に設置するタイプが多く、屋根材を傷めたり、寒冷地では水が凍結し機器を損傷することもありました。しかし、近年は集熱器を屋根の上に、貯湯槽を地上に設置することで、この欠点を解消した製品が出されています。

 

太陽熱利用システムの導入に対して、自治体によっては補助金を設けているところもあります。お住まいの自治体に確認してみてください。

 

■エコ住宅の先端アイテム

太陽光発電

太陽電池パネルで太陽光から電気をつくりだす。パネル をど れだけ効率よく設置できるかがポイント。発電のばらつきが
あっても、不足時には電力会社から供給を受け、余剰時には電力会社に電気を売れるシステムができている。導入費用には、
経済産業省関連団体の助成制度などもある。

オール電化

加熱調理器、給湯、冷暖房などをすべて電気でカバー。 燃焼 させる機器を使わないことで、クリーンな家ができる。I H  
クッキングヒーターの進イヒや、夜間蓄熱型の給湯器や暖房機 器などの普及で、経済性も高まっている。

雨水利用 雨水を貯めて再利用する。住宅ではトイレや庭の散水用 などに利用するシステムがあります。

 

 

●エアコン

省電力や空気清浄機能に注目

省電力や省スペース、付加機能の向上などが著しいエアコンも上手に 選びたい設備です。高い集塵能力と換気 機能、室内の酸素濃度を瀘量に保つ独自の酸素チャージ機能などを備 えた空気清争イ匕エアコン。室内機は奥行き199mmの薄型1効十。期間消 費電力は同社10年前製品に比べ40%も削減。新電力料金単価目安1 kWh=22円で計算すると、電気代は年間で約13600円も得になる。

 

●給湯器

大気熱を生かす「エコキュート」

エコキュートの製品例です。スイッチひとつで、湯はり、 保温、足し湯などが簡単にできるフルオートタイプ。 追い炊きや沸かし直しも可。標準的な370リットルタ イプで給丿昜にかかる電気代は月平均約1,000円く外気 温、給水温度、電気料金契約などに所定の条件あり)。 環境にやさしく。経済的なのが魅力。

 

 

 

建築費は割高でもランニングコストが安い家が良い

家の割高・割安の考え方として最近新しく注目されているのが「ライフサイクルコスト」です。これは、家を最初の購入価格だけで見ないで、住んでいるときのコストやどれくらい長く住めるかという住宅そのものの寿命も考えてみようというものです。

 

そもそも日本の住宅は何年住めるのかという発想が欠けており、誰もが見栄えや間取り、道路付けや設備にばかり目を向けてきました。本当は、その家がどのくらい長く持つかを左右する躯体・構造や、設備の老朽化を防ぐ手立てや仕組みが備わっているかということのほうが大事なのです。一戸建てでいぇば、屋根や壁面の部材の場合、少し高くともメンテナンスに手のかかりにくい新素材のものを選ぶことで、結果的に長持ちして割安になります。断熱材を壁や天井にしっかり入れる、複層ガラスを利用するといったことで、光熱費がかかりにくくなるとともに、ひどい結露を防ぎ、内装が傷みづらくなります。これらは住む前の購入時点で導入しておかないと、なかなか後から手をつけられるものではありません。もっと視点を広げると、太陽光発電やエコキュートといった環境に負荷をかけづらいシステムを導入することで、結果的に光熱費のかからない家を実現することもできるのです。

 

こうした見た目では違いがわかりづらい家の性能を評価する手法として、住宅性能表示制度があります。住宅において重要な、構造耐力、耐久性、省エネルギー性など10分野を評価機関が評価するものです。売り主に依頼して評価を受けてもらうのも、良質な家を得る一つの手立てといえます。これからの住宅はイニシャルコストからライフサイクルコストに発想を変える時代に変化していくでしょう。