ボーナス返済は元金の3割程度まで!!【できれば利用するな】

ボーナス返済

 

不動産会社の提示する資金計画を信じるな!!

不動産会社やハウスメーカーなどに住宅ローンの試算を依頼すると、通常は元利均等返済で、一番返済期間を長く35年にして、しかもボーナス返済を利用したパターンが出てきます。それが、当面の毎月の返済額を一番減らすことができる返済方法であり、購入希望者の意欲を高めることができるからにほかなりません。 

 

しかし、逆にいえば、それは総返済額が一番多くなる返済方法でもあります。検討者にとってはベストとは言えないのです。それ以外の返済方法を利用すれば、格段に総返済額を減らすことができます。年収などの関係で、提示された方法しか選択の余地がないのなら仕方ありませんが、ある程度余裕があるのなら、元利均等返済ではなく、元金均等返済を利用する、ボーナス返済はしない、返済期間を短くするなどの方法もあるので、ぜひ検討してみてください。しかし、現実的には元金均等返済は難しいでしょう。

 

ボーナス返済は不要だ!!

住宅ローンの返済は、元利均等返済でも元金均等返済でも、「毎月払い」か「毎月・ボーナス併用払い」を選べます。あえていうまでもありませんが、毎月払いは月々の返済だけで住宅ローンを返していく方法。毎月・ボーナス併用払いは、年1~2回のボーナス時に、返済額を増額する方法です。

 

バブル時代のような好景気の頃は、誰しも当たり前のようにボーナス併用払いを行っていたものですが、今の時代にはボーナス併用払いはあまりおすすめできません。というのも、ボーナスは勤務先から「必ず支払う」と確約されているものではないので、急に大幅に減額されたり、ゼロになったりして、返済計画が狂うリスクがあるからです。後から「ボーナスがなくなったので、ボーナス時の支払いをやめたい」と銀行に交渉することはできますが、手続きも面倒なので、最初からボーナス併用払いをしないほうが無難です。

 

住宅ローンの返済は、毎月払いを原則にして、ボーナスは貯蓄する。その上で、ある程度お金が貯まったら繰り上げ返済をすればいいのです。こう考えれば、ボーナス併用払いをする必然性はどこにもないといえるでしょう。

 

ボーナス返済がキッカケで家計が破たんする!!

住宅ローン破綻

 

住宅ローンのボーナス返済について見ると、以前はほとんどの人がボーナス返済を併用していましたが、最近では大幅に減少しています。フラット35を利用してマイホームを取得した人たちのボーナス返済利用率をみると、、全国平均で13.3%という結果でした。地域別では首都圏が最も少なく9.8%と10人に1人程度に過ぎません。近畿圈も10.8%とかなり少なくなっています。三大都市圏以外のその他の地域はやや多いのですが、それでも16.9%にとどまります。

 

なぜこんなに減っているのでしょうか? 色々な理由が考えられますが、最大の原因は、ボーナスは必ずしも支給額が決まっているものではなく、会社や個人の業績が落ち込むと、支給額が格段に減少するためでしょう。実際、バブル崩壊後にローン破たんに陥った人の多くは、ボーナス返済が原因だったといわれています。それまで100~200万円以上あったボーナスが、いきなり半額になったり、ゼロになってしまったわけですから、返済に行き詰まってしまうのも仕方がありません。また、住宅ローン返済がスタートしても、ボーナスぐらいは家具やクルマ、また旅行、ぜいたく品など生活のゆとりに回せるようにしたい、ローンのために苦しくつらい思いをするのはイヤ、という方が増えているといった、考え方の変化も関係していそうです。

 

ボーナス返済を使うと総返済額はアップする!!

多くの金融機関では元金のうち40%~50%まではボーナス返済に回すことができますが、50%をボーナス返済にすると、借入額3000万円の場合、毎月の返済額は5万円台であっても、ボーナス返済は約33万円で、ボーナス月の合計返済額は39万円弱になります。これではボーナスの大半を返済に持っていかれ、年に2回の楽しみが失われてしまいます。

 

できればボーナス返済はしない、利用する場合でも元金の2~3割程度までに抑えておくのが無難といえるでしょう。実はボーナス返済を少なくすると、総返済額面でもトクすることになります。ボーナス返済は年に2回なので、毎月返済と比べると半年分の利息が余計にかかり、結果的に総返済額が多くなってしまうのです。たとえば、3000万円の借入額を毎月分1500万円、ボーナス分1500万円とした場合、年間の総返済額は133万2648円ですが、ボーナス返済なしなら、133万623円となります。年間にしても2000円ほどの違いにすぎませんが、これが35年になると、その差はなんと7万円強になるのです。少しでも返済額を減らすためにも、できるだけボーナス返済を利用しないほうが良いと言えるでしょう。

 

ボーナス返済などで 毎月の負担を調整する

サラリーマンの方なら、ボーナスでまとめて返すことで月々の負担を減らすこともできます。多くの金融機関が、借人額の50%までをボーナスで返す分にまわすことができるようにしています。下の図は「今の負担を抑えるプラン」とした3年固定型の住宅ローンを使い、さらに借入額の半分をボーナス返済にした例です。月々の返済額は、約3.8万円までに下がりました。そのかわり、ボーナス月は毎月分にボーナス分を加えた約27万円が引き落しになります。また、ボーナスは景気に左右される場合も多いので、慎重に計画することが必要です。必ずしも上限の50%まで利用す る必要はありません。

 

繰り上げ返済も考えて 手堅い資金計画を立てる

ここまでは返済負担の抑え方を重視してきましたが、「利息を少なくする方法を知りたい」という方もいるでしょう。利息を減らす基本は返済期間を短くして返すことですが、実は返済額を計算するシステムにもバリエーションがあります。通常の住宅ローンは元金返済と利息支払いを合計して毎回一定になるようにした元利均等返済方一式で返します。これに対し、シンプルな返し方は元金を均等に分ける方法、つまり、360回で返すなら、毎回、元金の360分の1を返し、それに利息を加えて払う方法です。これは元金均等返済方式といいます。残高が多い当初は利息も多いので返済額が増え、先になるほど返済が楽になります。これではニーズに合わないということで今の主流は前者の元利均等ですが、当初は返済額に占める利息の割合が多く、元金の返済が進みません。そこで、元金を早く返したい人に向け、元金均等を選べるようにした金融機関もあります。返済負担に問題がなければ検討したい方式でしょう。

 

繰り上げ返済などで 返済期間中も調整する

無理な返済計画で利息を減らそうと考えるのは危険です。住宅ローンは一度条件を決めると簡単には変更はできません。借り換えなどの形で別の金融機関の住宅ローンを組んで前のローンを返す形になるため、相談、連絡などの手問がかかり、諸費用もさらに発生します。そんななか、比較的手を加えやすいのが繰り上げ返済です。もちろんですが手数料はかかりますが、残高を減らして以降の利息を少なくできます。そこで、まずは安全な計画でスタートし、貯蓄などに余裕ができたら調整するという方法がお勧めです。

 

ローン活用 鉄則5ヵ条

1、借入計画では、家計に照らして「いくら返せるか?」を、まずチェック

2、返済時期はリタイヤ前までを前提にする

3、新商品や優遇金利などの情報にアンテナを張り、有利なローンを探す

4、ローンの諸費用も考えて、借入先をできるだけ少なく絞る

5、利息を減らせるように、返済開始後も繰り上げ返済などで管理

 

親子リレー返済で 超長期の返済計画も

そのほか、親子二代にわたる長期の返済期間で返す親子リレー返済、夫婦や親子の収入をペアにして返済できる収入合算返済など、負担を軽くする方法を用意している金融機関もあります。特に民間ローンでは、金利や保証料の優遇など、金融機関ごとに独白の特典が設けられる傾向にあります。日頃の取引銀行に限らず、幅広く情報を集めておくとよいでしょう。

 

今入っている保険を見直そう!!

どうしても融資額が足りないというときに、増やすとしたらどんな方法があるでしょう。無理に増やしたのでは、後で家計が圧迫されて、苦しくなるだけです。では、どんな方法があるのでしょうか?

 

まず行いたいのが保険の見直しです。住宅ローンを組めば団体信用生命保険に加入することをお忘れなく。世帯主が死亡あるいは高度障害状態になった場合には、返済しなくてよくなります。長期入院などの手当ては別に考える必要がありますが、死亡保障については、それで充分ではないでしょうか。現在の保険を見直し、必要な保障に絞って、掛け金を下げることを考えましょう。

 

家計の無駄がないか支出を徹底チェック!!

さらに、今の家計で無駄がありませんか?この問いに答えるのが難しい人ほど、使途不明金が多いものです。もういちど毎月の収支をきちんと付けてみてください。案外、「あ、これ無駄」と思うことが出てきます。たとえば、それほど熱心に通っていないスポーツジムの会費とか。また、マイカーを持っているあなた。買おうとしているマンションが、駅近くの徒歩圏内だったら、車を所有するのをやめたらどうでしょうか? 車のローン分か浮きますね。無理して切り詰めようとしなくても、らくに節約できるものがまだまだあるかもしれません。その分、毎月の返済額を少しでも増やせたら、融資可能額を増やすことができます。