頭金の貯め方!!【住宅ローンを少なくするために】

自己資金は2割必要

 

頭金が多いほど毎月返済額や総返済額が少なくなる以前は、購入価格の8割までしか融資してくれない住宅ローンが大半で、残りの2割は自分で用意しなければなりませんでした。しかし、最近は、それが様変わりしています。民間ローンでも、10割融資が増えていますし、信用力の高い人については、10割以上、諸費用分などまで含めて融資する金融機関やローンが少なくありません。半公的なローンであるフラット35についても、2009年から10割融資が認められるようになりました。

 

ですから、十分な年収があって、他の借入れがないなど、融資環境の整っている人なら、頭金ゼロでもマイホームを購入することが可能になっています。不景気のなかで、優良な貸出先の確保に困っている金融機関にとっては、そんな優良顧客は大歓迎なのです。自己資金がゼロでも、積極的に融資してくれるはずです。しかし、そうではあっても、自己資金が多いほうが、何かと安全だし、有利であるのは間違いありません。たとえば、4000万円の住宅を金利3%、35年ローンで買う場合を想定してみましょう。頭金ゼロだと毎月返済額は15万円台で、35年間の総返済額は約6465万円に達します。

 

これが頭金が1割あると、毎月返済額は14万円弱に下がり、総返済額は約5819万円に減少します。2割の頭金なら返済額は12万円台まで低下し、総返済額も約1572万円に下がるのです。頭金ゼロと頭金2割の総返済額の差は約1293万円となります。当初の頭金800万円を差し引いても、総返済額は600万円近く違ってくる計算です。借入れ後の返済負担を軽くし、総返済額でトクするためにも、自己資金を増やす努力が大切。その努力は具体的に、大きな負担の差になって返ってくるのです。

 

 

多くの人が2割前後の自己資金を用意している!!

自己資金は2割必要です

それでは、皆さんは実際に、どれくらいの自己資金を用意しているのでしょうか。まず、下の図をみてください。そもそも住宅ローンを利用したかどうかをみると、分譲住宅では73.4%の人が利用しています。意外に少ないように思うかもしれませんが、これは無回答が多いため。それを差し引いて計算すると、割近くの人が住宅ローンを利用してい ることになります。分譲住宅では、17.3%、建売住宅が23.3%、建売住宅が17.3%、新築マンションが22.1%などとなっています。こうした点からすると、エリアや物件の形態にもよりますが、2割前後の自己資金を用意する人が多いということがいえそうです。

 

一定の期間をかけて 頭金づくりにいそしむ

また、 自己資金をどで用意していのような形るのかをみると、 下の図にあるように、預貯金がトップで、次いで不動産の売却、贈与という順になっています。いまの住まいを売却して、買換えの頭金にあてるという人も少なくありませんが、大多数の人は自分でお金を貯めて頭金を用意していることがわかります。いまは預貯金が十分ではないうえ、ほかに不動産売却や贈与などのあてもないという人でも、決して焦る必要はありません。ある程度期間をかけてシッカリと貯蓄にいそしんでいっても十分間に合うでしょう。なぜなら、住宅価格が急速に上がることは考えられませんし、金利が上がる可能性があっても、それはまだ少し先のことだと考えられるからです。

 

期間と目標額を設定して、着実に増やしていくようにしてください。明確な目標を定めず、余った分だけ貯めていけばいいといった考え方ではなかなか増えません。まずは、その意識改革が先決だと思います。親に協力してもらうのも 現実的な対応策の一つ自己資金不足を補う、最も手っとり早い一つの方法は、親からの援助を仰ぐことでしょう。現在は、贈与税に関する優遇制度が実施されていますから、贈与で自己資金を確保するのがいちばんの近道かもしれません。贈与税の軽減措置などについては、101回以降を参考にしてください。

 

なかには、親の援助を仰ぐにしても迷惑をかけるのは最小限に抑えたいので、贈与ではなく借入れの形にして、確実に返済していきたい、などと考えている人もいるのではないでしょうか。その場合には、贈与でなく「借入れである」という明確な証拠を残す必要があります。そうしないと、借入れではなく贈与ではないかと指摘されることになりかねないので注意してください。それには、次のような点がポイントとなります。ある時払いの催促なし々では通用しませんから、まずは金銭消費貸借契約書(借用書)をきちんと作成しましょう。市販のひな型を利用するのがいちばんですが、現在はネット上にテンプレートがあふれていますから、それを参考にすれば十分でしょう。借用書の作成にあたっては、金利、返済期間、返済方法などの条件を明確にしておきます。金利は1%以上で、現実に返済可能な範囲で返済期間などを設定します。また、返済負担率にも注意が必要です。銀行などの審査基準の上限である35%以内に抑えておくようにしたいものです。さらに、返済している証拠を残すことも大切です。銀行振込みなどで毎月、あるいは3か月に1回程度、振り込むようにすれば安心でしょう。

 

保険を見直す!!

頭金づくりのうえで注目しておきたいのが、生命保険です。住宅ローンには、団体信用生命保険(団信)がつきもので、ほとんどの場合、ローン契約時に加入することになります。民間では、ローンの金利に保険料が含まれているので別途負担の必要はありません。住宅ローンを利用するということは、その借入額分 の生命保険に加入するのと同じことになります。ですから、すでに複数の生命保険に加入している人なら、一つは解約してもいいかもしれません。また、大きな保険なら、保険金額を低くしてもいいでしょう。返戻金があったら、それを自己資金にあてることができますし、生命保険料の負担が減る分、ローン返済額を増やすことができます。そうなれば、ひと回り大きな住まいを手に入れられる可能性が生まれますし、借入れ後の家計に多少なりとも余裕が出てくることも期待できるでしょう。

 

 

自己資金が足りないときはこれだ!!

自己資金が足りない

 

自己資金が不足している場合でも、ローンによって、購入価格全額を融資してくれることもあります。返済負担率に問題がないなら、それもひとつの考え方ですが、購人後の生活をゆとりあるものにするためには、購人予算を下げて白己資金不足を補う、親からの援助を仰ぐなどの方法も考えられます。

 

しかし、何といっても一番安全なのは、ここは無理をせずにある程度の時間をかけて、自己資金を増やすという道でしょう。2年先、3年先、5年先などの目標金額を決めて、確実に増やしていき、その間にマイホームについて情報を集め、各種の知識を学んでおけば、マイホーム計画はより万全なものになります。その際大切なことは、リスクのない金融商品で確実に増やしていくということです。それも社内預金など、強制力のあるもので増やすのが確実です。毎月余裕がある分だけ貯蓄しようとしてもなかなか増えないものです。天引き預金で最初からこれだけしかないと思っていれば、何とかなるものではないでしょうか。それにかんしても、目標時期、目標金額を明確にして、何が何でも達成するといった覚悟で取り組むようにしたいものです。

 

 

親から借りるときには書類を揃えておく事!!

住宅購入資金を両親などから貰うのではなく、借りたいという人もいるでしょう。その場合には、借用書を作成するなど、キチンと書類を揃えておくことが大切です。それをしないと、「実際には贈与ではないか」ということで、贈与税の対象にされかねないので注意が必要です。書類の見本は大きな文具店などで販売されていますし、最近はインターネットににでもテンプレートが紹介されているサイトが増えているので、参考にしてください。

 

具体的には、借人額、金利、期間、返済方法などをキチンとしておきましょう。「あるとき払いの催促なし」は通用しませんし、親の年齢が90歳、100歳まで返済が続くのも疑問です。また、借りる人の返済能力なども考慮して条件を決めるのがいいで実際に返済していることを示す証拠として、銀行振り込みで返済をして、証拠を残すようにすれば、まず問題ありません。

 

※注文住宅の見積もり請求


頭金と家賃

頭金と家賃

 

できれば1日でも早くマイホームがほしいと思う人も多いのでは?物件めぐりをしていて、「これぞ理想の家と思える物件に出会ってしまったけれど、頭金が足りない。あなたは、頭金が貯まるまで我慢をしますか? ムリをして買ってしまいますか?「ムリをして買う」派は、「金利が低いうちに早く貿った方がトクだ」「家賃が損になる」といいます。

 

確かに金利差で返済額は変わります。たとえば、3000万円を全期間固定3.5%、30年で借りると(ボーナス払いなし)、月返済額は13万4353円(総返済額4849万6680円)となります。1年間がんばって200万円貯めて、2800万円、29年のローンを借りると、金利が3.9%にアップしていた場合、月返済額は13万4476円とほぽ変わらないものの、総返済額4879万763円と、金利が高い分、約30万円の損になります。これだけ見ると、やはり金利が低いうちに買ったほうがいいじゃない、と思うかもしれませんが、残念なことに、頭金が十分にないと長期固定金利は借りられません。結局は、変動金利や短期固定金利で借りることになり、たくさん借りた方がより大きな金利変動リスクを負うことになるのです。

 

また、「家賃が浮く分、早く買った方がトク」という人もいますが、住宅の耐久年数を考えていないのでは? 一般にマンションで45年、戸建てで30年もすれば、建替え期に入るといわれます。早く買えばそれだけ早く建替え期になるわけで、「早く買った方がトク」とはいえないのです。もっとも、建替えずに住み続けるなら別ですが。家計の安定性を保つ意味でも、住宅ローンに限らずムリは禁物な時代といえます。購入時期を遅らせる、あるいは親から贈与を受けるなどで、十分な頭金を用意した上で購入した方が安心ではないでしょうか。