「品確法」とは? 瑕疵担保責任とは? 時効は? 面積は?

品確法と瑕疵担保

 

「建築基準法」と「品確法」は全くの別物です。「建築基準法の性能規定化」という表現から、建築基準法の改正と「住宅の品質確保の促進等に関する法律(以下、品確法)」に基づく「住宅性能表示制度」を混同されている人が非常に多いのですが、このふたつは完全に別なものです。ここで詳しく解説しておきましょう。

 

 

 

●建築基準法の意味

建築物の安全性に関して最低限の基準を定めたのが建築基準法です。その第1条は「この法律は建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする」となっています。

 

●品確法の目的

品確法の法律の主たる目的は、住宅の品質確保と消費者保護です。「瑕疵担保期間の10年義務化」は、住宅の欠陥に対する保証を充実させ、「住宅性能表示制度」は住宅の性能を明らかにし、きちんとその性能が達成された住宅を引き渡す仕組みです。住宅性能表示制度は、建築基準法よりもさらに高い性能を表現するものです。建築基準法は、建築物の最低限の基準を定めて、この基準への適合を義務づける法律であり、建築物の構造の強さや火災時の安全性などについての規制を定めています。建築基準法は義務であり強制ですが、住宅性能表示制度は任意の制度となっているのがポイントです。

 

●「10年間の瑕疵担保責任」の内容

品確法で定める瑕疵担保責任は、住宅供給者である工務店やハウスメーカー、分譲会社、ビルダーなどに対して、全新築住宅の瑕疵保証を10年間にわたって行うことを義務づけています。保証内容は次のようになっています。保証対象は、取得契約(請負・売買)における、基本構造部分(具体的には木造軸組構法の場合、基礎、土台・柱・梁・床、壁、小屋組、屋根など構造耐力上主要な部分および雨水の浸入を防止する部分)となっています。

 

仮に欠陥があった場合に建築主などが請求できるないようは、補修請求または賠償請求であり、売買契約で修補不能な場合に限り契約解除できます。なお、契約書等で請求などに関して建築主に不利になるような特約は設定できないのがポイントです。瑕疵担保期間(欠陥などに関して建築主が施工業者に請求できる期間)は、成後引き渡してから10年間となっています。また、任意で特約を結べば、基本構造部分以外も含めた瑕疵担保責任は20年まで伸長することが可能となっています。

 

新築住宅の瑕疵担保責任

新築住宅に瑕疵が見つかれば、工務店や不動産業者に修理してもらうことができる

 

保証範囲は基本構造部分、期間は10年以内
万一工務店などが倒産しても保険でカバー

新築住宅に瑕疵があることが暮らし始めてから分かったとき、引き渡しから10年以内なら、建築した工務店(請負人)や販売した不動産業者(売主)に修理してもらうことができます。これが「新築住宅の10年保証」と呼ばれる、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)の「新築住宅の瑕疵担保責任に関する特例」制度です。

 

瑕疵とはキズや欠陥のことで、経年の劣化とは異なり、建物が竣工したときから存在する不具合です。品確法では「住宅として通常期待される品質や性能を欠いていること」と定義しており、瑕疵が見つかったら、不具合が起きていなくても、請負人や売主は修理しなければなりません。保証の対象になるのは、基本構造部分です。しかし、特約を結べばこれらの部分以外も瑕疵担保責任の範囲に含めることができ、さらに、保証期間も20年まで延長できます。

 

請負者が保険に加入

瑕疵が発見されても、請負人や売主が倒産などをして、10年間の瑕疵担保責任が果たされないと困ります。そのため「瑕疵担保履行法」が制定され、責任が確実に履行されるよう請負人や売主の資力を確保するため、瑕疵担保責任保険や供託が義務づけられています。売主などが倒産した場合は、保険金で修理できる仕組みです。

 

契約時には、工務店や施工会社がどの保険を利用しているか、補償の限度額・免責額などを確認しておきましよう。

※営業電話がかかってこない「資料請求」

 

 

瑕疵担保責任の時効・免責

瑕疵担保責任による損害賠償請求権は、10年間権利を行使しないと「時効」により消滅します。また、中古物件の場合、売主が業者ではなく個人であるため、一般的には瑕疵担保責任を負わない「免責」となっています。

 

「品確法」と欠陥住宅

「品確法」は住宅の品質確保と、取得者(消賞者)が安心してマイホームを新築したり、購人したりできるようバックアップすることを目的とした法律ですが、現在では認知度がまだまだ低いことと、性能表示のための費用負担が普及の問題になっているようです。また、2000年の4月1日施行以降、マスコミに欠陥住宅トラブルが取り上げられるたびに、当事務所に寄せられる相談や第三者調査依頼が急激に増加しています。欠陥住宅や手抜き工事のトラブルはあとを絶たないのが現状です。品確法がしっかり活用される日はまだ先なのかもしれません。

 

 

「性能表示制度」とは?

平成12年に施行された「品確法」では、新築建物の10年保証とともに、建物の性能を数段階のランクに分け、その性能を設計時と施工時にチェックして表示する「性能表示制度」が創設されました。建売住宅や建築条件付きの建物ではまだまだ導入されていませんが、少なくとも制度の概要を知り、その建物がどの程度のランクにあるのかを知ることは、住宅の性能を知る上で大切な指標となります。この制度の最大の特徴は、住宅性能そのものを客観的な指標でつかめることと、設計段階、施工段階それぞれに専門機関の審査や現場検査を必要とすることでしょう。完成すれば評価書が発行され、住宅の評価アップにつながります。

 

もっとも、この性能表示制度は、現状の公庫仕様と重複している部分も多く、たとえば公庫の耐久性仕様は、そのままでも性能表示制度における「劣化の軽減」項目の等級2をクリアしていますし、公庫の省エネルギー融資を使うのであれば、「温熱環境」の等級3にもなります。構造面においても、前章で説明しているように軸組工法での耐震性は筋交いの靈に関係しますから、筋交いを増やすわずかな追加費用で「構造の安定」の耐震等級2に近い住宅性能を得ることができるはずです。

 

これと同様な制度として、平成14年から中古住宅の性能表示がスタートしました。こちらも中古住宅を客観的な指標で評価し、中古市場の活性化を促すと同時に、購入者に対して安心して購入できる中古住宅を供給するのがねらいです。すべての建物は完成と同時に中古住宅になっていきます。これからは、中古住宅も性能によって評価される時代がくるのかもしれません。


大手でも安心できない!!

品確法で新築住宅の構造部分に関する10年間の保証が義務化されているといっても、業者選びを問違うと、真摯に対応してくれないケースもあります。欠陥の証拠をつきつけても、「いや、それはあなたの使い方が悪いためで、うちの責任じゃありません」などと、のらりくらりと逃げようとする業者が少なくないのも現実です。

 

ですから、新築や中古住宅なら分譲会社、仲介会社の信頼度をシッカリとチェックしておく必要があります。また、注文住宅を建てるときにはその依頼先に対する万全の調査が欠かせません。なかには、「全国的に名前を知られた会社だから安心」と決めつける人がいますが、そうとも限りません。全国的に知られるほどの実績を持っていることは間違いなくても、強引な販売方法で業績を伸ばしているにすぎず、影では各種のトラブルを抱えているという会社も少なくないのです。試しに、インターネットで「欠陥住宅」「住宅トラブル」などのキーワードで検索してみてください。膨大なヒット数になるはずですし、その中味をみると、大手の不動産会社や大手ハウスメーカーなどの名前が頻繁に出ているのが現実です。

 

こうしたことは企業側からみれば、「トラブルはごく一部のことで、大半の物件では高い評価を得ている」ということでしょうが、深刻なトラブルに発展するには、企業側のまずい対応もあったはず。購入候補を絞り込んだときには、その会社がそんなトラブルを起こしていないか、起こしている場合にはどういう対応をとっているのか中味をチェックしておきましょう。他方、さほど知名度のない中堅・中小の企業に関しては、都道府県庁に足を運んで『業者名簿』を閲覧し確認しておいてください。