住宅業界の構造こそが「欠陥住宅」の原因

欠陥住宅が減らない

 

念願のマイホームを新築しても入居早々から、家のあちこちに「ほころび」が続出しはじめる・・・雨漏りがする、ドアが開きにくい、引き戸が半分しか開かない、壁や浴室のタイルにひび割れが入るなど。あるいは2階のフローリングの床がきしみ、歩くと体が傾くような感じがする。ゴルフボールを床に置いてみたら、何もしないのにコロコロと自然に転がっていく・・・あわてて床下を点検してみると、すでに基礎にクラックが入っている。

 

すなわち欠陥住宅になっているのです。

 

基礎束が沈下している。天井裏をのぞけば骨組みの部分のボルトが締めてないし、柱の寸法がたりない分をすきまに端材をはさむことでごまかしてある・・・・・・・・・・施工業者やハウスメーカーを問いつめると、造成のときに軟弱な腐食土で盛り土をしたまま、薬剤を注入して地盤を固める補強工事をしていなかったこともわかった。そんなこんなで地面の片側が沈下し、家がピサの斜塔のように傾いてしまった・・・・・・・・・・

 

こうした欠陥住宅は他人事ではなりません。たとえ、有名な大手のハウスメーカーで建てたとしても、絶対に大丈夫ということはないのです。阪神大震災におけるビルや家屋の倒壊の要因に、手抜き工事や不良施工などによる欠陥建築が数多くあったことは、このサイトでもすでに指摘したとおりです。筋交いが適切に入っていなかったり、接合部が金物で補強されていない。基礎と土台の接合があまく、基礎コンクリートも粗悪なものが使われている。すべての柱が仕様書より細いものでつくられている。申請時の図面とまったく異なる建て方をしている……違法建築、手抜き工事、不良施工の実例をあげていくときりがないのです。しかし、これは本当にあった事例です。

 

 

今現在でも数多くの「欠陥住宅」が建てられている!!

新しかろうが古かろうが、在来工法であろうが近代的建築であろうが、こうした欠陥住宅にあっては住まいの快適さも強度も意味をなさないのです。構造や工法、技術以前のモラルの問題です。しかし、今でのこのような欠陥住宅は造られているのです。極めて残念なことですが、日本の住宅業界ではこうしたずさんな施工や手抜き工事が行われていることが多い現実があるのです。あちこちから批判や指摘を受けたにもかかわらず、震災以後の復興工事においてさえ、相変わらず不良施工がまかりとおっているのが実態だとすれば、同じ業界に身をおく者として恥ずかしい限りです。

 

 

消費者をだまして欠陥住宅を売る業者!!

欠陥住宅を確認

 

家電をはじめ、日本の産業界が生み出す製品は世界に誇るハイクォリティを有しています。形状は高度に洗練され、性能はよく、使いやすくて故障も少ないのです。戦後に限っても、ゼロからスタートしてここまで高品質な製品を世界に浸透させた技術は、胸を張て良いものです。そこにはモノづくりの歴史の厚みが感じられるのです。しかし、最も価格の高い商品であり、使う人が生活を営み、生命にもかかわる大事な商品である住宅の品質だけがなぜもこうに粗悪なのか。技術の未熟や不足という以上に、その欠陥が居住者にわかりにくいという専門性を隠れみのにして、欠陥商品を消費者に押しつける業界の古くてゆがんだ体質と構造があるのです。慟く人にモノづくりの誇りやクラフトマンシップのプライドが感じられないシステムも問題です。3Kといい自らを卑下する感覚もいかがなものでしょう。そこに欠陥住宅があとを絶たない第一の理由があるといえるのではないでしょうか。

 

 

「欠陥住宅」は建築業界が引き起こしている!!

手抜きや欠陥の原因を関係者のモラルの欠如だけに求めることはできないのです。そこには後進的で非合理的な業界の仕組み、手抜きに対する有効なチェック機能がないなど、行政面の不備まで含めた構造的要因が深く関わっているのです。最近では少しは改善されてはきたが、日本の流通構造は複雑で高コストをよぶため、「暗黒大陸」などと呼ばれたことがあったのです。実は建築業界も、これとあまり変わらない構造を持っているのです。重層下請け制度といわれる仕組み、商習慣です。

 

住宅の建築に当たっては、建築主は大手ハウスメーカーや工務店と契約して建築を依頼するのですが、実際に現場で施工するのは地域の工務店の下請け、あるいは孫請け業者です。ハウスメーカーから地域の工務店に仕事が発注され、工務店は大工を始め各種の職人を抱える下請け専門業者(屋根、鈑金、内部造作、給排水、電気等設備業者)に配分されるのですが、ほとんどは資材等の材料支給(設備関係は除かれる場合があるが)なのです。ハウスメーカー各社の施エシステムはクローズド化しており、業界としての統一性やルールはなく、各社各様となっているのが実情です。しかも、資金力と大量購入という単純な力でほとんどの利益をそこで吸い上げられているのです。その残ったささやかな利益を請負元の工務店を頂点として上から下へと仕事が順ぐりに、枝分かれしながら配分されるので酢。本来は、設計、積算、発注、施工と段階ごとに専門業者が専門分野ごとに技術を対等に発揮しながら、家という商品の質を高めていくようなシステムが働けば合理的だし、生産性も高く、それぞれにいささかなりとも利益配分が明確になされるのであればよいのですが、わが国の住宅業界では一番下のランクで慟く職人に技能教育を与えたり、十分な利益を分配することなく支配的な上下関係としてしか、分業制度が機能していないのです。

 

つまり、ほとんど親会社のハウスメーカーが利益を取り、その余りを元請けつまり工務店が確保し、残った予算を下請けにまわすのです。下請けも利益をキープしてから孫請けに配分するのです。現場の施工業者は残った乏しい予算のなから利益を出さなくてはならないわけです。そこで工事をなるべく安くあげて採算をとろうとするのです。その結果、骨組みや基礎などユーザーの目につきにくい部分に粗悪な資材を使ったり、工程を飛ばしたりといった手抜きが生まれるのです。「上」は、利益が確保できれば工事内容にはあまり関心をはらわないのです。「下」はユーザーと直接契約しているわけではないから、どうしても施工への責任感が薄くなるのです。こうして、価格は高いのにユーザーの要望が商品に反映されない、欠陥が見つかっても責任の所在があいまいな消費者不在の無責任体系ができ上がるのです。欠陥住宅があとを絶たない背景には、こうした業界の構造があるのです。まず利潤を確保して、それに経費を上乗せした値段を商品の価格とするやり方は、ビジネスとして前近代的であるのですが、消費者のニーズを軽視、無視した供給者重視の考え方であり、一時代前の売り手市場でしか通用しないやり方といえるでしょう。

 

 

前置きが長くなりましたが、私がここで言いたいのは、このような日本の住宅業界構造の中で、「欠陥住宅」をつかまないためにはどうすれば良いかということです。

 

ズバリ、申しましょう!!

 

ハウスメーカーが利益を取り、その余りを元請けつまり工務店が確保し、残った予算を下請けにまわすのです。下請けも利益をキープしてから孫請けに配分するのです。

 

このような業界のシステムの中で「ローコスト住宅」を選ぶということは非常に危険なことだと言いたいのです。こうした業界の構造から生み出される「ローコスト住宅」はまさに【欠陥住宅】の製造機といえるでしょう。少し考えれば、すぐにわかることです。

 

 

欠陥住宅にしないために

欠陥がある理由

はっきりと言いましょう。建築中の多重チェックが欠陥住宅防止につながるのです。注文住宅住宅の場合、施工業者の質が住宅の品質にストレートに表れるので、施工業者の見極めがなによりも重要になります。そのためにも複数の業者を検討し比較することが必須です。欠陥住宅をつくる業者は情報の開示をいやがったり、その場しのぎの言い訳をしがちなものです。些細なことでも不審に思ったら、くわしく調べてみましょう。建築基準法では建築確認、中間検査、完了検査が義務づけられていますが、必ずしも1軒1軒を詳細に見るわけではありません。現場検査の回数が多ければ多いほど、欠陥住宅を未然に防ぐ可能性が高くなりますので、任意の住宅性能表示制度や住宅保証制度を利用することをお勧めします。多重チェックすることで、安心感も高まります。また、任意の制度を利用したからといってプロまかせにせず、建築主自身がこまめに足を運ぶことでも、現場によい緊張感が生まれます。

 

 

欠陥住宅とわかったら、すぐに弁護士に相談を!!

不幸にもマイホームが欠陥住宅とわかり、施工業者に誠意が見られないときは、すぐに弁護士に相談することをおすすめします。各都道府県の弁護士会が主催する法律相談センターや、各弁護士会のホームページにある弁護士隋報検索するシステムを利用するといいでしょう。

 

なお、住宅性能表示制度の建設住宅性能評価書を交付された住宅は、住宅紛争処理支援センターの紛争処理システムを利用し、わずか1万円で各弁護士会の紛争処理機関に調停を依頼できます。